訳ありのわけ

不細工なわけ

天草市場取り扱いの「みかん」は、【訳あり】ばかりです。
どれもこれも不細工なものしかありません。。
それは、できる限り自然の流れの中で育てているからです。
燦燦と降り注ぐ太陽と、うねるように吹き付ける潮風にも負けず、しっかりと立っている「みかんの樹」を育てています。
柑橘の枝には棘があります。5mm程度の小さな棘が無数についている柑橘もあれば、大人の男性の親指の爪の大きさを超えるほど大きな棘をもつ柑橘もあります。
凶器の棘を持つ枝は、強風に煽られ鋭い棘を振り回し、結実した「みかん」を傷つけます。
黒点病やすす病にもかかります。雨に濡れ伝染もします。
できる限り剪定し、枯れ葉や枝を落として風と光を当てるようにします。
ですが、それだけでは足りません。やはり殺菌剤も使います。それは有機殺菌剤です。もともと、土に含まれている成分を直接散布します。
とても良い効果が出るほどではありません。
植物にとっては、光と空気が一番の薬のように思います。
また、傷ついたり病気に感染しても、光と空気は修復を促します。
樹上熟成期間中に「みかん」は、傷ついた箇所を自ら修復していきます。
ただし、病気になる前の状態や傷つく前の状態に戻るわけではなく、中身を守るためにガサガサ、ゴワゴワの果皮になっていくのです。
人の肌でいえば、ケガをした後にカサブタができるような状態です。
「みかん」の病気はそれだけではなく、その季節ごとの色々な病気が発生します。
その季節、その時の気候に合わせて、ほんの少しの手助けをし「みかんの樹」に頑張ってもらいます。
果皮がツルツルピカピカの状態で熟成しないわけです。完熟に近づくに従い、どんどん不細工になっていくわけです。
果皮が、どれだけ醜い状態になっても中身は十分に美味しいものであることを目指しています。

こだわりその1 土壌について

除草剤を使用せず、有機たい肥を用いています。
草生栽培のために土もふっくらして微生物も喜ぶ土です。
もともと、天草は海底が隆起してできた島です。
山は岩山、土地は大小の石ころだらけです。
そして、山の下は平地が無くいきなり海です。
そんな土地でも「みかんの樹」は、逞しく育ってくれます。
土壌の様子を見ながら、施肥をしています。

こだわりその2 農薬使用について

年間の農薬は、上限有機農薬を4回使用しています。慣行栽培の3分の1以下です。
もちろん、収穫後のワックス等の使用もありません。
だから、見た目が不細工なのです。

こだわりその3 選果について

収穫後は、必要以上に触りません。
特に皮が薄い温州みかんや、不知火(しらぬい)などは、選果の影響を受けやすいみかんです。
選果機を転がったみかんは、摩擦熱により味が変わります。
摩擦熱が加わる前と後では、フレッシュ感が大きく変わります。
柔らかい布で埃や土などを拭き取り、手作業で一つずつ箱詰めしています。
手拭きだけでは、どうしても落としきれない汚れが張り付いているものがあります。
そもそも、外観は良いとは言えない果皮に加え、汚れが落ちていないものを見ると、なんと酷い「みかん」だと思います。
ですが、皮を剥いて食べてみると、今まで食べたことないと思うほど美味しく熟成していたりするのです。

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